2. chair の正しいイメージが浮かびますか? — 英英辞典の効用
あることばの意味がわかっているとはどういうことなのか、ということを考えてみたことがありますか。 それは簡単に言うと、そのことばに対するイメージが私たちの頭の中にあるということだと思います。 逆に、頭の中にそのイメージができ上がっていないことばというのは、意味のわかっていないことばということであり、知っていることばとは言えません。
それでは、今述べたような意味で chair という語を知っていると自信をもって言えますか。 おそらく、これほど簡単な単語でも、はっきりしたイメージが浮かばないことに気づくのではないでしょうか。こういうときこそ、英英辞典の出番です。
a piece of furniture for one person to sit on, which has a back, a seat, and four legs
この定義によれば、英語の chair には、「いす」という日本語からはすぐには思いつかない条件がいくつかあることがわかります。
for one person = 一人用 has a back = 背もたれがついている (has) four legs = 四足である
これらの情報から、「背もたれのある一人用のいす」という chair の本当のイメージを思い浮かべることができます。ちなみに、背もたれのないものは stool、二人以上かけられる横長のものは couch または sofa といいます。
私たちはまず「いす」ということばを聞くと chair も stool も sofa もごっちゃになって頭に浮かび、それから必要があれば「丸いす」とか「長いす」というように、前にことばを付けて区別をします。それに対して、英米人は初めから chair と stool と sofa の分かれたイメージが浮かぶのです。
このように考えると、たとえ知っていると思い込んでいる単語でも、はっきりしたイメージの浮かばないものや、あるいは日本語に引きずられて間違った理解をしているものは、本当に意味のわかっていることばとは言えないことになります。
前(英単語学習のヒント 1)にも述べたように、日本語と英語との間には意味のズレがあることが多いので、英語の本当の意味がわかるには、常にそれに対応する日本語と比べてみて、同じなのか違うのか、そしてもし違うならどういう点で違うのかを理解しておかなければなりません。
そして、日本語と英語のズレを発見する上で役に立つのが、英英辞典なのです。そこで、英英辞典に慣れていない方は、知らない単語の意味を調べるために英英辞典を引くのではなく、すでに訳語を知っている単語の定義を読んで日本語とのズレを確認する作業をしてみてください。必ず意外な発見があって英英辞典を引くのが楽しくなるはずです。
日本語とのズレを確認するためにも、英英辞典を使って単語の正しいイメージをつかむようにすること